嫌われ松子の一生-玉川上水のロケ地観光ガイド

本作とは切っても切りはなせない関係にある小説家太宰治という人物。幾度となく自殺を繰り返す彼の人生のように物語の主人公松子の人生も幾度となく結末を迎えます。その接点となる地、玉川上水は。。。
玉川上水は江戸時代、人口増加による水不足解消の目的でつくられた上水道です。東京都心から約45km西に位置する羽村(はむら)市を流れる多摩川を取水口として新宿区四谷まで約43kmを結びます。明治期まで東京の重要な生活用水路として活躍しましたが、玉川上水より水をひきいれていた淀橋浄水所(西新宿)の機能が、上流、別水路にある東村山浄水場へと移転したため、かつてはたっぷりの水量で流れていた上水道ですが、現在では穏やかで小さな流れとなっています。
玉川上水はまた、小説家である太宰治が1948年に愛人とともに入水心中をした場所としても知られますが、それもかつてのその大きな水量があったからこその出来事ということになります。
映画「嫌われ松子の一生」では上京してきた主人公川尻松子(中谷美紀)の26歳のひと時がその地で描かれます。自分を太宰治の生まれ変わりとする過去の恋人八乙女(宮藤宮九郎)への想いから辿り着く「死に場所」として「玉川上水」が選択され、物語キーワードのひとつでもある「生れて すみません」という言葉(太宰治「二十世紀旗手」副題)等、物語随所に太宰治要素が織り込まれます。松子は太宰が愛人山崎富栄と互いの体を紐で結び死したことに共鳴し、自分を山崎富栄に重ね合わせます。そんなことを想い上水沿いの美しい緑のなかを歩く姿が演出されました。
東京都三鷹市、三鷹駅南口を出て左方向に進むとすぐ線路と交差する玉川上水へと行き着く事が出来ます。川というには少なすぎる水の流れを堀いっぱいに生い茂った木々の下に見え隠れするのを覗きながら、駅を背に上水道の右側を5分ほど進んだ距離に、太宰と山崎の入水地の印として石碑が設置されています(石碑には太宰の名は刻まれず、玉鹿石(ぎょっかせき)という太宰の故郷青森県金木町特産であることのみが記されています。川沿いを走る車道を挟み住宅地側の歩道にあるため川の流ればかりを気にしながら進むと見落としてしまうので見学の際は注意が必要です)。
「むらさき橋」を経て川沿いをさらに進むと次の橋「万助橋」より車道が途切れ、井の頭恩賜公園内の緑道となり足下はアスファルトから土へと変わります。緑道を進む事さらに3つめの小さな橋の名を「新橋」といいますが、この場所が心中をはかった太宰、山崎の2人が流れ着いた場所であり、松子が2人の影を追って辿り着く場所となります。
物語の設定として触れる玉川上水はどちらかといえば少し暗い部分になりますが、(映画内にも登場した)美しい桜のように木々花々といった豊かな自然環境を持ち、上水沿い各所にある遊歩道や公園とリンクする現代社会に必要な憩いの場として、散策やサインクリングにもとても良いロケーションとなっています。
散策マップ:東京都水道局HP(PR情報→水道歴史館→玉川上水 内)
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